感謝を込めて。
2019年 05月 23日その頃、Napでは、10minインタビューと称して、レギュラーアーティストの宣伝も兼ねて、質問形式でビデオインタビューをしてYouTubeにあげていた。そんなこともあり、関東ツアーでNapにもご出演くださった際に、ピストルさんに不躾にもお願いしたら、彼は快く応じてくれたのである。
が、しかし、インタビューをはじめてものの数秒で僕は後悔した。もちろん、完全素人のインタビューということもあるが、それ以前に、話を進めるにつけ、なんと自分のものの考え方は世俗的なんだ、と心で唸っていたからだ。そんな僕の稚拙で的外れな質問に彼は、ん・・・と言いながらも、なんとか言葉を探し繋いでくれていた。
おかげでインタビューは一応形にはなったが、終えてすぐ後、「マスター、もうちょっとキャッチボールをしましょうよ!」と例の人懐っこい笑顔と豪快な笑い声で言って、「またやりましょう。リベンジですよ!」と明るく言ってくれたことを今も覚えている。
DVDも含め2枚組のこのアルバムは、ボリュームもたっぷりで、ユーモアや遊び心があり、朗読もあった。タイトルにあるように、東日本大震災における被災者への彼の強い思いを込めたコンセプトアルバムでもある。
だからこそのアルバムの制作過程や、現在のほぼ毎日全国を飛び回りながらの彼の弾き語りライブにおけるエピソード等々たくさんお話を伺いたいと思っていたのだが・・・。何一つうまく聞き出せなかったことを急に、これを書きながら思い出してしまった・・・(苦笑)。
さて、光栄にもここNapからまた始まった、「令和」最初の5・20の「竹原ピストルソロ公演」3年ぶりのNap弾き語りワンマン。今では武道館を始め、大中小のどんなホールでもすぐにソールドアウトになるほどだから、抽選で外れた方からの問い合わせもここ数日間は特に多かった。
久しぶりにお会いした彼はいつもどおりの優しい笑顔で、同じスタンスで、僕らスタッフと接してくれていた。これまたいつもながらのマイペースでリハーサルに挑み、早々にサウンドチェックが終わると、すぐに、「マスターあとは勝手に少しやらせてください」、と新曲の練習やら、代表曲や昔の曲等々、時に確認し、時に本番さながらに歌い、激しくギターを1時間近くかき鳴らすのでした。
その間、僕はPA席でじっと曲ごとのバランスなどをチェックしつつ、この見慣れた光景を見て、やはり彼はアスリートそのものだ! と改めて思った。休憩のちょっとした合間にスタッフが竹原さんに、紅白や武道館などでオメデトウ、が続いてますね、と祝福を伝えたら、「いやいやまだまだです。ぜんぜん納得していません!」というニュアンスの話をされていたと後で聞いた。
「竹原ピストル」という人は常に自分と戦い続けているのだ。テッペンのない、限界を超えていこうとする強い意志を持った一流アスリートそのものだ。誰かと比べることではなく、自分の限界と戦い続ける。自分だけの道を更に切り開こうと全身全霊をかけている。その姿勢も思えば彼は昔から何も変わっていない。この日のリハーサルや本番での姿を見るにつけそう強く感じた。
本番での、野狐禅の時代の「じゅうじか」「カモメ」や、ソロになってからの「オールドルーキー」「よー、そこの若いの」等々を矢継ぎ早に歌っていく彼の唯一無二のあの歌声と機関銃のように抱え弾くギターの音色。あっという間の2時間だった。
前回、2016.6/2に行われた、Napワンマンの際に書いて頂いた、アルバムのサインには、「いつの日か恩返しできるようがんばります!」と書いていた。あれから3年。今回もまた同じようにアルバムにサインをお願いしたところ、そこには、「マスター、またうたわせて下さい!!」と書いていた。僕は思わず微笑んでしまった。
竹原ピストルさん、恩返ししたいのは僕達です。そしてNapのような小さなステージにもまたこうして立ってくれたことに感謝してます。今も昔もあなたは多くの弾き語りアーティストに夢と希望を与えてくださっているのです。
そのことがまるで自分のことのように誇らしく心より嬉しいのです。そんな風に思っている全国津々浦々にあるライブハウス等々の関係者や名も無きミュージシャンはきっと多いことでしょう。皆同じ気持ちに違いありません。またお会いできる日があることを祈ります。そしてこのツアーの成功を心より願っております! 感謝を込めて。
2019.5.23 Nap代表 竹村龍彦 スタッフ一同。
(✳︎なお、当日の公演では、多くの皆様におきましては多々行き届かなかった点があったかと思います。何卒お許しいただき、今後ますますの精進をしたく存じます。)